好きなものは好きなのよ雑記

フィギュアスケートとかいろいろ雑記

フィギュアスケートの魅力とはいかなるものか?

 私は絶賛就活中なのですが、フィギュアスケートが好きです! と言うとわりかし突っ込まれます。話しやすいんでしょうね、みんな知ってるし。特に真央ちゃんと羽生くんの知名度はすさまじい。本当に全員知ってる。昌磨くんもこの頃は皆様ご存じですね。なんてったってかわいいしな(主観)。

その答え方のひとつに「スポーツとして、競技としてスケートが好きなので、ルールや戦略について考えるのが好きです」があります。さすがに初対面の人に「よし行くぞ…吉幾三デュフ」の魅力について語るわけにもいきませんからね。
しかし、今回はもう少し抽象的に、ウェットな感じで話したいと思います。

 

 

フィギュアスケートは「転ぶ」競技か

「転ぶ」競技ですね。間違いない。転ぶのが少ない選手はいても、転ばない選手はいない。トップ選手だとほとんどジャンプでの転倒になりますが、地方大会に行くとスピンやステップでの転倒もよく見ます。氷の上を片足であれこれやってるんだから当たり前です。ちょこちょこ私自身も滑りに行きますが、前に向かって滑るだけでこけますからね。たいした時間滑ってないのに三回ぐらい転ぶ。ね。
しかし、「転ぶ」からこそスケートを見ているファンというのはあまり(というかほとんど)いないでしょう。現地で観戦していると必死に祈っているファンの方をたくさん見かけます(冷静っぽい言い方をしましたが私も必死に祈るたちです)。「私の何かしらを使って軸が定まるなら使ってくれー!!!!!!!」と言わんばかりです。「つーか俺が支えるお前のジャンプ、軸・タイミング、俺に任せなイェア」みたいな謎のパワー送っちゃったりするよね。もちろん我々は何もできないわけですが。

 

 

二度と時間は戻らない

「転んでほしくない」のは、「やり直しが効かない」ことがわかっているから。どんなスポーツでもそうですが、ひとたびゲームが始まれば誰にも止めることはできない。
フィギュアスケートは個人もしくはカップル競技です。シニアのシングル選手の場合、フリースケーティングにはジャンプだけでも七個の要素があり、スピンが三個、ステップが二個で計十二のエレメンツがあります。たとえそのひとつを壊滅的に失敗しても、仮にすべてが失敗に終わっても、基本的に止まることは許されない。二分四〇秒の間、四分三〇秒の間、選手はひとりきり(もしくはふたりきり)でリンクの上に立たなければならない。

一度転んでも、二度転んでも。三度転んでも、四度転んでも。次の瞬間にはどうにかして「回復」しなければならない競技です。プログラムは止まりませんから。

 

 

転んだ回数は立ち上がった回数である

転んだその次には立ち上がらなければならない。歯を食いしばり、力を込め、足を踏み出さなければならない。足が動く限り、辞めることは許されない。

完璧な演技を見るのはもちろんうれしい。

しかし、転び、立ち上がり、再び前を向く姿もまたうつくしいと思う。何千回、何万回繰り返してきた練習の跡が、普段私たちが決して見ることのない努力の軌跡が見えるような気がするからです。そして強く思います。どうかこの努力が、踏み出した足が、ネクストステージに繋がりますように。それはこの試合のことかもしれないし、次の試合のときかもしれないし、来シーズンになるかもしれないし、ひょっとしたら、スケート人生を終えたあとのことになるかもしれない。だけどいつか、その手で確かな何かを掴めますようにと。

 

 

平昌五輪での、宮原知子さんのガッツポーズを覚えています。久方ぶりの全日本で決めた山本草太さんのトリプルジャンプを覚えています。羽生結弦さんが4Tリカバリーに挑むときの目の強さを覚えています。宇野昌磨さんが表彰台でにじませた涙を覚えています。高橋大輔さんのラストジャンプ、惜しくも転倒となったそれに、西岡さんが選んだ「立ち上がる」という言葉の響きを覚えています。
アリョーナ・コストルナヤさんが練習で見せた涙を覚えています。アンナ・シェルバコワさんが演技前、張り詰めた表情で肩をふるわせたことを覚えています。アレクサンドラ・トゥルソワさんがキスアンドクライで悔しそうにうつむいたことを覚えています。

 

相手が若い選手であれ、中堅選手であれ、ベテラン選手であれ、重ねた努力に対する賞賛と感動を忘れずにいたいと私は思います。少なくとも、自分が発言する「好き」には責任を持ちたい。「私は」という言葉で語らなければならないと思うし、その内容も誰かを傷つけたり、追い詰めたりすることはないように気をつけたい。もちろん至らないところはたくさんありますが、ひとりのファンとして改めて考えていかねばならないと思いました。

 

毎日いろんなところでいろんなものを見るのでちょっとまとめたいなと思っただけです。意味なんかねえ。とりあえずユーロ楽しみ! シェルたん! 世界でいちばんかわいいよ! がんばれ!

みんなステイヘルシーでよい演技が出来ますように!

ワールドオンアイス雑記(ちょっぴりネタバレっぽいかも)

ささきの2月新刊、「ワールドオンアイス」作中で使用した既存曲・オリジナル曲イメージをまとめてみました。

【既存曲】

ユーリ・プリセツキー
SP「黒い瞳
https://youtu.be/TXjRuD_sbBA
FS「ダフニスとクロエ」
https://youtu.be/gLKs0NeJsHU

オタベック・アルティン
SP「Fly me to the Moon」
https://youtu.be/NJCLX46m1Fk
FS「アラビアのロレンス
https://youtu.be/8i1mI-P9Z3s

ジャン・ジャック・ルロワ
SP「20th century boy(T.Lex)」
https://youtu.be/JB6WZu8IAZg
FS「革命のエチュードショパン)」
https://youtu.be/oIsGKyqEP5M

ピチット・チュラノン
SP「リチュアル・ダンス」
https://youtu.be/pPtYKH6nGWk
FS「ニュー・シネマ・パラダイス
https://youtu.be/6O9w5C_911s

レオ・デ・ラ・イグレシア
SP「シング・シング・シング」
https://youtu.be/r2S1I_ien6A
FS「チャップリンメドレー」
https://youtu.be/Spcqku-aWAk

ジ・グァンホン
SP「シェルブールの雨傘
https://youtu.be/Br17Cb1_3oU
FS「レ・ミゼラブル
https://youtu.be/bhh_C8qBnbU

ミケーレ・クリスピーノ
SP「月の光」
https://youtu.be/jEc_r33ODos
FS「四季より『冬』(ヴィヴァルディ)」
https://youtu.be/p1qNOfdMyGA

エミル・ネコラ
SP「ミッションインポッシブル」
https://youtu.be/vccYZjRvJ0M
FS「ゴッドファーザー
https://youtu.be/1aV9X2d-f5g

イ・スンギ
SP「トスカ」
https://youtu.be/sdMR_mvqvhw
FS「リベルタンゴ
https://youtu.be/TNT5vwUNa6k

南健次郎
SP「ジプシーダンス
https://youtu.be/qXCuPEsGSSk

ヴィクトル・ニキフォロフ
SP「ロクサーヌのタンゴ」
https://youtu.be/Rn0xXo1gwGY

 

【オリジナル曲】

南健次郎
FS「鼓楽」
イメージはデニス・ヴァシリエフス選手の今シーズンフリー、『ラスト・サムライ』でした。ラトデニくんは城・侍などに興味を持ってくれているおかげか、「海外選手がやる日本風のプロがだいたい忍者に寄っていく現象」はあまり起きていないような気がします。
ミハル・ブレジナ選手の2017-2018シーズンショートプログラム鼓童」からも影響を受けました。打楽器が中心の曲で滑る、というイメージはミハルのこのプロからです。
南くんのプログラムは、日本人が滑る日本のプログラム、というより海外にわかりやすくアピールできるような和プロを想定しました。

ヴィクトル・ニキフォロフ
FS「路(みち)」
 つまりベストオブニキフォロフ。コンティニューウィズウィングス羽生結弦凱旋ショー)の、「ホープアンドレガシー」の振りを含めたオープニングに強く影響を受けました。そしてもちろん、エフゲニー・プルシェンコの「ベストオブプルシェンコ」、通称「ベスプル」にも!(笑)
 カモメの鳴き声のエフェクトは、坂本花織選手の今シーズンフリー「ピアノレッスン」のイメージで。幼い頃から成長する一人格のプログラムとしては、エフゲニア・メドベデワ選手の2016-2017シーズンショートプログラム「River Flows in You」の印象を強く持っています。このシーズンはフリーの「映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』」もあわせて、初見でかなり衝撃を受けた思い出。
 そしてなにより、今まで数々の選手が経験してきた「最後の舞台」。競技人生最後の演技の数々に、強く影響を受けました。

勝生勇利
SP「雅」
 曲のイメージ
「天国の島」https://youtu.be/N_0CdLWeVPE
 和プロだけどダンサブルで、あと拍子が取りにくそうなプログラム。ブレードで音とリズムを奏でてくれ勝生勇利……。というふうに欲望で妄想しました。羽生選手の「SEIMEI」とはまた違った和プロ、洗練されながらも原始的で荒削り、って感じのプロどうですかね勝生勇利さん。
 管楽器が強いプログラムも、きっと彼は滑りこなしてくれると思います。裏拍でトリプルアクセルを飛び上がり、表拍で降りてくるとかしてほしい。そして、歓声鳴り止まぬステップシークエンスをしてほしい。

FS「ワールドオンアイス」
 概念的には、町田樹さんの「ボレロ」です。フィギュアスケートの歴史そのもの、「ユーリオンアイス」や「路」をさらに抽象化したような。エロスもユーリオンアイスも「人」のプログラムとしての印象が強いですが、このフリーは人智を超えたような、時の流れの一部のような……そういう風なプログラムも見てみたいなあ、という気持ちでもろもろを決めていきました。コレオシークエンスがバレエジャンプとスパイラルなのは完全に趣味です。
 フィギュアスケートがうまいひとしか成立しない気がしますね。もちろん勝生勇利さんは最高にスケートがうまく、何者にもなれるタイプのスケーターですので、すばらしいプログラムになると確信しています。全部わたしの妄想なんですが。

 

 

【雑記】
 今回の新刊では、基本的に「曲名+フィギュアスケートで検索すれば、選手の演技が見られる」曲を選択しました。JJのショートは趣味で選んでしまったのですが(笑)、ロックですてきに滑ったスケーターはたくさん存在します。
 「ロクサーヌのタンゴ」は高橋大輔選手(彼を「選手」と呼べることのうれしさったらないですね!)を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。昨シーズンのテッサ・バーチュー&スコット・モイヤ組のFDも印象深いですね。「ニューシネマパラダイス」は今シーズン友野一希選手がショートプログラムで使用しています。「シェルブールの雨傘」はジョニー・ウィアーの演技が個人的には大好物です。そして「リチュアル・ダンス」ではもちろん、浅田真央さんのSP&FSが思い浮かびます。真央さんのプロの中でも、大好きなプログラムのうちのひとつ。
 もしよろしければ、名演技の数々をご覧いただければと思います。

 そして、「ワールドオンアイス」を構想する中で、もっとも影響を受けたプログラムは、町田樹さんの「人間の条件」です。
 転び、立ち上がり、そして進んでいく。違う世界でも、競技やステージではなくとも、フィギュアスケートと関わり合い、生きていくことはできる。
 レオ・デ・ラ・イグレシアは世界王者になることはないかもしれない。だけどいつか、悩みを持つスケーターに「きみはきみの思うように、スケートを愛することができる」と確信をもって伝えることができるとしたら、それは間違いなく、フィギュアスケートが彼の偉大なる財産であることの証だと思います。
 
 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。今シーズンもまだまだ続きますが、最後まで楽しみましょう!

羽生結弦は進研○ミだ。

 これを書きだそうとしているときに、はてなブログから「そろそろ更新しない?」とお誘いが来た。ずいぶんタイミングの良いことだ。しかし結局ずるずるとブログを先延ばしにしてしまうタイプの人間、ここを逃したらきっと書かない。なので今まさにこうしてぽちぽちとキーボードを叩き始めたのである。

 

 みなさまこんにちは、またははじめまして。ささきです。大抵の方はTwitterでお世話になっているような気がするが、フォロワーさんも増えたことで、このブログの存在もご存じない方もいらっしゃるだろう。

 Twitterでつぶやいてること(スケート関連)を長くしたブログです。

 これで説明は十分だと思う。つまりそういうことで、とりとめのない萌えや思いを発散する覚え書きです。よろしくお願いします。

 

 さてここからが今回のブログ。

 

 羽生結弦選手が新プログラムを発表した。昨シーズンは皆さんご存じの通り、バラ1ちゃんと晴明様だったわけで、新しい!競技プログラム!と発表前から脳内は沸きに沸いていた。

 まあ全然発表されなかったんだけど。

 アイスショーでの発表はないだろうなって思ってた。たぶんクリケットのメディアデーだろうなって。去年は8月上旬から中旬ぐらいだったし、今年もそんなもんだろう。てか前々から言ってくれるっしょ、徹夜するかどうかは体調によってきめよう。

 とか思ってた何も知らない子羊ことささき。

 もう8月はないと思ったよ~!8月31日ってなんだよ結弦~!

 朝起きて(怠惰なので9時頃に目覚めた)Twitterを見ると羽生結弦新プロの文字。

 は?

 ジョニー。

 は?

 ニジンスキー

 は?

 

 えっ誰かの妄想がバズったんですか?

 

 と寝ぼけながらTLを追っていくささき。「さっちゃんまだ起きてないかな?」「さっちゃん来てないね」「さっちゃん大丈夫かな?」。めっちゃ心配されとる。ごめんみんな、寝てた。

 このあたりでどうやら本当に発表されたらしいと気づく。オトナルもニジンスキーもガチらしい。マジか。

 いやいやいやいやマッジかよこのオタク。混乱しつつつぶやいたツイートが若干伸びる。Twitterそういうところあるね。

 そんな風に混乱しながらも、公式練習を何度も眺め、史上最高の技術でもって推し活に挑もうとしているオタク。のオタクとして日々精進していかなくては、と心に誓った。そして羽生結弦は消えた。情報をぶちまけたり月に帰ったり忙しい男である。

 

 され、ここからが本題だ。ささきはリアルタイムでオータムクラシック(最終グループ)を見た。3時半に起きて。スケート以外のためだったらこんなこと絶対しない。

 みんなの演技についての感想というか、点数などについての所感は、今夜のスケートハング後に考えようと思っている。なので羽生選手についてのざっとした印象を。

 

 CiONTUで見た~~~!!!!!!!!!

 

 支部で見た!進○ゼミでやったところだ!もちろん履修済みです~!

 Continues ~with Wings~ で見た。三日見た(ささきは全日参戦の民である)。懇切丁寧に羽生選手の映像に説明してもらった。

「ジョニーのパンケーキ(スピン)に憧れた」→SPでスピン構成を変更してパンケーキを入れる。

「プル様は神。ヒーロー。ニジンスキーは見ると毎回泣く(わかる)」→あのさまざまなアングルからの映像はお前の研究用だったのか結弦。ステップシークエンスのはじまりがすごくニジンスキー

 進研○ミでやったので全部わかる。自分のファンに見所を伝えてくださる推し。ここが好きなんだ~!というのはショーで大いに理解した。

 しかし決して、ジョニーなだけでも、プルシェンコなだけでもない。間違いなく羽生結弦のプログラムでありながら、数々のリスペクトがそこにはある。

 オレのピアノは唯一、阿字野を継承するピアノなんだ…!(ピアノの森

 と言わんばかり。

 多かれ少なかれ頭の中で比較をしてしまうだろう、と思っていたがそんなことはなかった。全員が世界トップクラスのスケーターだと、個性にのまれるとか印象が薄れるとか、そういうこともないのだろう。ジョニーはジョニー。プル様はプル様。そして羽生結弦羽生結弦だ。そしてシットツイズルでスピンに入るのはもはや趣味だぞ。ツイズルサンド3Aも趣味の域だからな。

 ま、そんなこんなで、「あ、これ見たことある!」が続いた試合でした(月がたくさん光ってることも含めて)。あっジュ゛リ゛エ゛ーーーーット(転生済)は見たことなかったです。

 

 そして、もうひとつうれしいことが。羽生結弦さんがバリバリの競技者に復帰したことだ。

 えっ?きみこの間まで「スケートを大好きな気持ち、取り戻したくて…(意訳)」ってなってなかった?一話から十二話までワープしちゃった?はやくね?

 「最短で強くなる」「勝ちたい」「やっぱ勝たなきゃ意味ないんで」「練習がしたい」「スケートがしたい」

 ああ、羽生結弦が戻ってきた。平昌からこのかた、妙に穏やかだった体に、競技者の魂が戻ってきた。恐ろしいほどの情熱を抱く希有な魂が……。(すぐにポエムになる)

 羽生結弦さんのメンタルは、決して、鋼のように強くはないとわたしは思う(もちろん一般人に比べるとおそろしいほどの強度を誇るに違いないが)。どちらかというと不器用で、感受性が強く、クレバーな中にたぐいまれな繊細さが垣間見える……お前誰やねんって感じだけど、受ける印象としてはそんな感じだ(もちろん現実はまったく異なるかもしれない)。それにも関わらず、大きな大会で勝利を収めてきたのは、その勝利への執着、すさまじい量のエネルギー。良質な燃料あってのことだと思う。

 その魂の強さ。生命を削ったような鋭い情熱。見ているこちらが心配になるほどのきらめきが、また再び、帰ってきた。

 うれしかった。早いな!とは思ったけど(笑)、今シーズンもまた、あの輝きに満ちた姿を見ていられる。

 きっと、もう長くはない。羽生結弦の競技人生、というものを考えたとき、きっともう、後ろから数えた方が早い。そんな時期だ。いつかの最後は、もしかしたらもうすぐかもしれない。

 次に、平昌後に見せたあの穏やかさを、再び目にするとき。それが彼の「いつかの最後」であることを願う。「幸せだ」といったその微笑みを、そのときにまた見られれば良いと思うのだ。

 そのときにまた、わたしは悲しい気持ちを抱きながらも「ああ、見たことがあるな」と穏やかに思うことだろう。

 

 羽生結弦は進○ゼミだ。

 わたしがそう思うのは、きっと彼の姿を注意深く、気味の悪いほどの熱意をもって見てきたからだ。

 ジェットコースターな毎日だが、もうちょっとだけ、こんな日々が続くと良いなと思う。

 羽生選手、続けてくれてありがとう。そしてあなたのこれからがどうか、幸せに満ちたものでありますように。

 

 

おしまい

誰かの希望となるということ──24時間TVアイスショー感想

 

 やあやあ、お久しぶりです。ささきです。

 たいていの方はTwitterの方でお世話になっていると思うが、ブログ自体は久々だ。フィギュアスケートがオフシーズンに入ってしまったというのが大きな理由だが……なんにせよ新たなシーズンが始まったので、これからまたちょくちょく更新していければ、と思っている。よろしくお願いします。

 さて、24時間テレビだ。

 この季節、月へと帰還してしまう羽生氏が世間に登場する、数少ない機会である。ジュニアグランプリシリーズもはじまったし、楽しいことが増えていくなあえへへ。(ちなみにわたしはシェルバコワ選手を推している。みなさまわたしの推しをよろしくお願いします)

残念ながらリアタイはできなかったのだが、帰宅して早々テレビをつけた。

 ウーンあいかわらず顔がかわいい。

 被災地でのインタビューを涙ぐみながら見つつ、さまざまな年代の羽生氏を堪能する。きのこちゃんから大人に至るまで、すばらしい成長過程である。えーんえんえんかわいいよぅ。推しの過剰摂取で体力を奪われる。このあとにまだアイスショーがあるというのに……。

 などと思いつつ真剣に画面を見ていたのだが、やはり前半部分で心に残るのはこのお言葉である。

「そういう意味で自分を責めないでほしい」

 羽生氏は震災後、将来を期待され異なる拠点に移ることができた。羽生氏の言葉で言い換えれば、「逃げちゃったかな」である。才能ある青年にのばされる手は多く、それが逆に羽生氏に自責の念を抱かせてしまったのであろう。わたしには想像しかできないことであって、もちろん簡単に慰めの言葉をはけるわけもない。

 なので、裁縫教室のご婦人の言葉には、本当に(まことに勝手であるが)感謝というか、そういう類いの思いを抱いてしまうのである。もちろん彼女の言葉がひとびとの総意というわけではないが、やはりあの言葉は彼女の口から出たものであってこそのものだ。

「あなたの努力は今のわたしたちの元気になっている」「あなたはそういう努力をしてきたのだ」(意訳)

 よかったねえ、羽生結弦さん。あのときの羽生少年。

 

 さて、アイスショーの舞台は仙台である。羽生結弦さんの故郷、そして被災を受けた場所だ。

 デ●ズニーとのコラボということだが、本妻(プー)はさまざまな訳があって不参加。なんとかかんとか画面に登場させてくださっただけでもありがたい。どういうコラボなのかしら……どきどき……と思っていたのだが、ディ●ニーと直接コラボしたのは地元仙台の子どもたちであった。とてもかわいい。でもねえ、別に同じ振りをやってくだすってよかったんですよ羽生さん。ミッキーマウスマーチで氷の上をノービスやジュニアの子たちのようにステップしてくだすっても……。ノービスの彼のタケノコジャンプすてきでしたね。これからが楽しみです。

 最後氷上に現れた大きなお花。まさか羽生氏がここから登場するのか? ついに? 花から誕生してしまうのか? などと一瞬思ったがそんなことはなかった。びっくりさせやがるぜ、まったく。

 そして、かわいらしいダンスから白鳥へ。

 デ●ズニープリンセスと見まごう23歳男性の登場である。

 ひょっとしてこれがラストスワンなのではないか……などと思いながら祈るように鑑賞する。

 あいもかわらずすばらしかった。

 長い長いツイズル、雄大なディレイドアクセル、そしてお前それどうやってとんでるの? と言いたくなるような入りのトリプルアクセル……。集大成にふさわしいスワンであったと思う。(最後かどうかはわからないが)

 なにより、所作のひとつひとつが至極丁寧であった。ノッテ・ステラータに関しては、負けたとき(二位)のスワンは耽美ですてき、勝ったとき(一位)のときのスワンは力強さがあってすてき、などとさまざまな意見があったが(たぶん)、今回のスワンは本当に、しみじみと響き渡るような演技であったと思う。裁縫教室のみなさまと同様、ささきもえんえんと涙ぐむ。

 そして、最後のご婦人のお言葉だ。

「ああ、素敵な日もあったなあ。」

 なんてやわらかい言葉なんだろう。長い仮設住宅の暮らしを思い返し、そう思える日を眼前に描き出した羽生選手の演技は、あの方の目にどのようにうつったのだろう。衣装を見て思い出した、とおっしゃっていたことを思うと、わたしにはソチの羽生氏のことがどうしても思い出されてしまうのだが……。

 羽生氏は被災したときにみた、満天の星空に希望をみたのだという。人工が排された、恐ろしいほどの自然の美に。

 ノッテ・ステラータ──星降る夜に。タチアナ・タラソワ女史からの贈り物に羽生氏が込めた思いは、きっとわたしが思うよりずっと深いのだと思う。

「きっとわたしたちも大丈夫です。」

 大丈夫です、という言葉が本当なのかどうかは、わたしにはわからない。だけれど、ご婦人の口からその言葉が発された、そのこと自体がとてもすばらしいと思う。

 スケートをやっててよかった、と羽生氏は言った。ソチのときに「なにもできていない」と語った青年は、今、とてつもなく大きくなってそこにいる。

 金メダルの重さ。金メダルの意味。自分ができることはなにか。それを実感し、考え続けた四年間だったと思う。

 ああ、よかったねえ羽生さん。幸せになってね。

 最後に。

 これらのツイートの引用で終わります。気を抜くとすぐにポエムを吐いてしまう。オタクとはそういう生き物なのです。

 ありがとう羽生結弦。最高だ羽生結弦。できれば曲名だけでもいいので、新プロについて教えてください。

 

FIN

ア●ンジャーズかプリキ●アか、それともセー●ームーンか―いけいけ、チーム・クリケット!―

 オーサーの体調だけが心配。どうも、ささきです。

 いやーさすがにこれは予想外だわ。前回のブログで「四年間は一区切り」といった通り、ある程度のことは想定していた。基本的に、コーチ変更について。

 でもさすがにこれはねえ! いやだってこんなに一極集中するとは(笑)

 そう、チーム・クリケットである。民間人も利用できる高級クラブ「虎の穴」。メディアのシャットアウト加減がまさに「高級クラブ」だなあって感じの、あのクリケットだ。

 はじめに申し添えておくが、わたしは彼らの移籍について、とくに異論はない。びっくりはしたが納得はしている、といった具合だ。なのでその理由を述べていこうと思う。

 

 さて。

 現時点でクリケットに移籍を表明した、シニア世界ランク高位選手は

〇エフゲニア・メドベデワ(露)

〇ボーヤン・ジン(中)

〇ジェイソン・ブラウン(米)

 の計三名。ほかにもジュニアとかでちらほら移籍があるんだけど、今日はこの三人を中心にいこう。

 

  • ロシアが生んだ美少女戦士! 北京の舞台を仰ぎ見る絶対女王、ジェーニャ・メド

 ワールド・GPF・五輪すべてでメダルを持つ彼女。目標は「五輪で金メダルを取ること」。はっきりしていてすばらしい。

 彼女の移籍に関しては前コーチ、エテリ・トゥトゥベリゼの印象がどうしても強い。移籍にいたる精神的理由なんてわかりようもないのだけれど、けがもあった五輪シーズン、思うところもあったのだろうな、と思う。まあわかりようもないのでこのへんにとどめておく。

 エテリのもとには20をこえた女子選手がいない。これから先出てくる可能性もあるが、あそこはもう次から次へと世界女王候補がうまれる場所だ。なので「これから先、四年」を見据えると、違う場所で長期戦略を練るというのは正当な道であるように思われる。

 そして彼女にとって大きいのはクリケットのプライベートスペースの確保能力。ほぼステルス能力だ。

 おそらく、彼女への批判はロシア国内でまだ続いているだろう。良し悪しというわけではなく、ロシアというのはそういう国だ。

 なので、彼女がさまざまなことに惑わされることなく、フィギュアスケートに打ち込める環境として。わたしはクリケットに太鼓判を押す。

 問題はロシアとカナダの国際関係ぐらいだろう。ビザがとれなくなったりしたら一大事だ。ま、もうこれは世界平和を願うしかないな。

 

 ・スパイダー美容ボーイ! 元祖クワドマスター、ボーヤン・ジン!

 ボーヤンについては、ハビエル・フェルナンデスという前例があるので。もう安心して頑張ってくれといったところだ。もう一番びっくりしたのは「中国が海外に選手を!」ということで、ボーヤンのクリケットINに関しては特に不満もない。

 スケーティング能力の向上とPCS、GOEの向上。上半身の動きの強化。移籍メンバーの中では最もやるべきことが見えている。正直すんごい楽しみだよね!

 少し心配なのが語学力。たしかボーヤンは英語があまり得意ではないので……。中国チームもついていくそうなのでそのあたりは安心だが、オーサーやほかのコーチと直でセッションするに越したことはない。ま、でもボーヤンコミュ強っぽいし大丈夫かもしれないね。

 

  • 天使の国から来たやわらかエンジェル! さらなる高みを目指す、ジェイソン・ブラウン!

 正直いちばん驚いたかもしんない。ちょっとまとまっていないので話せることは少ないのだけど、おそらく昨年の五輪落選もきっかけではあるのだろうなあと思っている。

 柔軟性に優れた、とくべつなスケーティングをもつ選手だ。昨シーズンはジャンプがうまくはまらなかったのと、ピークの持っていき方がうまくいかなかったのかな。先々シーズンがよいシーズンであっただけに。

 彼も中堅~ベテランにさしかかる年齢だ。体力、技術、ともにサポートが必要になっていく。彼がどのようにクリケットを利用していくのか。本当に楽しみだ。

 

 

 はい。このようにして個々の選手にフィーチャーしてみましたけれども。

 まあもうこれね、あとははじまってみないとわかんないから。座して待つ。

 なので最後に、「なぜこんなにクリケットに選手があつまったのか」について、個人的考えを述べておく。

 

 まずはハビエル・フェルナンデスの成功。これは前々からのことで、羽生氏も彼のクワドを考慮に入れて移籍を決めたことは有名だけれど、もうこれは本当に大きい。だって彼ははじめ、自分が世界王者になる人間だなんて思っていなかったのだ!

 そのような選手が大成し、五輪メダルを獲得して! 栄光の舞台を去ろうとしている。長期的な戦略と成功。それはクリケットの栄光でもある。

 

 世界選手権での、二度のワンツーフィニッシュ。平昌五輪での、男子シングルダブル表彰台。ひいては羽生・フェルナンデス両氏の統制を成功させたこと。

 「有名選手が集まった」理由はここが大きいと思う。つまり、ハビゆづが関係を壊すことなく、最後まで競い続けたことだ。

 クリケットがこのように選手を受け入れたのもここが大きいと思う。大きな大会、またそこに至るまで。だれがどのように、どうやってどの選手をサポートするのか。クリケットにはおそらく、ある程度のメソッドが出来上がっている。五輪で各国のパスをそれぞれのコーチに割り当てて、チームそのもので挑むことができたように。だからこれだけ選手が集まっても、そこまで心配はしていない。

 

 ピーキング能力の高さ。と、ルール適応力については言わずもがなだと思うが。これはそもそもの利点なので詳しくはのべない。ま、五輪もいつもながらにすごかったよね。特に男子シングル。

 これだけでなく、シングル女子選手の長期的な活躍、ナショナルレベルでの戦いがチーム内でないこと(国際大会に出られるか否か、で競い合うことがない)など利点はさまざまにある。

 

 繰り返すが、クリケットは真の意味で「世界の一位二位が同チームに一定期間存在し続け、崩壊しなかった」チームだ。これを支えるのは、個々の選手に対するこのチームの個々に対するフレキシブルさだと思う。どうかそれが彼らに合いますように、うまくいきますように、と願っている。

 

 シーズン開幕は目の前にせまり、新たなルールが選手たちを待ち受ける。たくさんの困難が予想できるが、どうかすべての選手たちが自分の望むように滑ることができますように。

 

 新たなチームに加わる選手、そして今までのチームから去る選手、そして同じ場所で研鑽を積む選手。すべての選手の栄光と幸福を祈って!

 

 あとあれね、もうなんかあったらクリケで迎え撃ってもらおうね。

 

おわり

 

戦略と戦術―羽生、宇野、ネイサンを中心に ~銀●伝ってマジで役に立つね~

 

 今回はタイトル通りまじめです。どうも、ささきです。今日は銀英伝の重要性を世界に告知しに来たのだ。みんな、読むんだぞ。アニメでもいい。ささき実は見てないんだけど……でもいいらしいからそのうち見てみようかな。

 

さて。今日は「戦術と戦略」を軸にブログを書くことにする。

 

 平昌五輪の羽生結弦はまさに、ラインハルト・フォン・ローエングラムだった。ジャンプの本数、構成、そしてなにより右足首の状況。「五輪」という舞台に即した戦術はあまりにも緻密で、大胆であった。ま、このあたりは羽生本人もさることながらチーム・クリケットの力が大いに生きたというのもあるだろう。やべえよなクリケット。すげえよクリケット

 上でわたしは「戦術」という言葉を用いたけれども、銀河英雄伝説を読了済みの方々には了承していただけることでしょう。まだ読んでいない方にざっくり説明すると、戦術は「戦場での作戦・行動」で、戦略は「戦に至るまでの準備」である。だいたいね。詳しくは本編を読んでくれ。面白いから。

 そんなこんなで用語については了解を得たということにして。

 オリンピックシーズン前に「戦略の羽生 戦術のネイサン」という記事をどっかで読んだ。いい記事でしたね、あれ。厨二心をくすぐられたわ。でもちょっと反論したいことがあるんだよなあ、ささきには。

 ひとつのプログラムをワンシーズン(もしくはそれ以上)かけて徐々に磨き上げていく羽生。

 ジャンプの構成を自在に操り、そのときの状況に応じて攻勢を組み替え、勝ちに近づくネイサン。

 たしかにこうして書いてみると違いは明確なのだが、それを「戦略」と「戦術」といえるのかどうか。

 上の定義に従うと、これどっちも「戦術」レベルの話じゃない?

 戦略に基づく戦術、というのが兵法の基本であって(適当に書いてるから嘘ぶっこいてる可能性もあるよ、このあたり)、ふたりの戦い方の違いは戦略の違いからくるものであるんじゃないのかなあ。

 平昌五輪、ショートプログラム一位は羽生結弦。フリープログラム一位はネイサン・チェン。金メダルは羽生結弦、銀メダルは宇野昌磨、銅メダルはハビエル・フェルナンデス

 こから導かれる成功戦略は、まあだいたいふたつに絞られるだろう。

 

  1. 完成度を軸にし、得意の構成で基礎点を稼ぐ。PCSとGOEで基礎点差を埋める。
  2. ジャンプ構成を軸にし、クワドジャンプを多数導入する。PCSの差は基礎点で埋める。

 

 平昌五輪は、どちらかというなら①戦略が優勢であっただろう。結果的にね。でも②が悪いというわけではまったくなく、実際フリー一位はネイサンなわけだし、宇野も②の要素を持つ選手だ。ただし②は結構リスキーというか、ハイリスクハイリターンな面があることは、2018世界選手権を見ていても自明である。例を挙げるとするなら、ヴィンス(ヴィンセント・ジョウ)はまさに五輪とワールドそれぞれでリターンとリスクを経験した選手だ。あとあれね、怪我。みんな本当気を付けて……。

 とはいってもみんなすごいというか、すべての要素のクオリティの高さは前提としてってことなんだけどね。みんな全部うまいからね。ステップもスピンも、スケーティングも。みんな上手だよほんと。後ろ向きに滑れるのほんとすごいな……。(つい最近はじめてスケートをしたささきである)

 しかしライバルは手ごわい。

 五輪の金メダル候補たちはその上でさらに「プラス」を求めねばならなかった。そしてそれは今後も同様である。

 五輪の宴は終わった。ここからまた新たなる四年間がはじまる。そしてここのポイントこそ、選手たちの「戦略」をパンピーが垣間見ることのできるわずかな時間である。ささきはうきうきわくわく趨勢を見守ってきた。わーいインタビューわーい。

 宇野昌磨は「完成度」に舵を切るようだ。ふむふむ、ささき的にはとてもうれしい。彼の表現力、物理的なPCSの高さを思うと、その戦略は向いているかもという気持ちになるのだ。4Aについても取り組まない姿勢をはっきりと示しているので、以前のインタビュー通りクワドの種類を絞ってGOEを高めていく方針なのだろうなあと思っている。彼の場合、着氷を堪えることが多いので、そのあたりで改善を図っていのかもしれぬ。2017-2018シーズン後半はジャンプ大暴れ(宇野比)なところもあったから、今はそのあたりに取り組んでいるのかしら。まあいずれにせよ新プロが楽しみだなあ。そしてエキシはどれを使うのだ昌磨氏。

 ネイサン・チェンはどうやら「ジャンプ構成」を重視して進んでいくようである。ジャンプに対する意欲は尽きず、4Aについてもコーチからちらほらと情報が漏れてくる。いやそのまえにトリプルアクセルでは、それだったらいっそ五回転のほうが現実的ではないか、という気もしなくはないが。彼の場合問題になってくるのはルール改正かもしれない。GOE幅の変更と、フリーの時間短縮。ささきはネイサンの演技を一度だけ見たことがあるのだが、ジャンプの構えだけを取り上げると、やはり多少長い。まっちーの解説通り、まさに「ロシア式」。コーチがロシアのひとなのだ。となるとやはり、PCSがオリンピックメダリスト陣と比べると伸びない。ま、それでもクワドの基礎点はものすごいものがあるし、そのあたりをぶちかましてくれるほどの力を期待してしまう。なんせ、彼は現ワールドチャンピオンだからね。基礎点で殴られてえ。

 

 てな感じで、同年代トップグループにおいても戦略の違いが見え始めた昨今である。もちろん、フィギュアスケートの戦略はこればかりではない。今回はトップグループのみに着目したが、ジュニア選手にだって、クワドを飛ばないベテラン選手たちにだって彼らの戦略がある。とくに後者の戦略には、競技のみに限らない、人生における考えが垣間見える。

 つまるところ戦略とは、フィギュアスケートといかにかかわっていくか」ということであり、ベテラン選手たちにとっては「人生をどのように生きていくか」につながるものでもあるのだ。きっと。

 カロリーナ・コストナーが現役続行を決めた。31歳の彼女があれほどうつくしく、強く、氷の上を舞う。それは女子選手たちにとってどれほどの希望になることだろう。氷を降りても人生は続く、とカロリーナはインタビューで述べていた。そして彼女はいまだ、氷の上にいる。すばらしいことだ。

 選手の数だけ戦略があり、選手の数だけ人生がある。

 やっぱりフィギュアスケートっておもしろいし、楽しいし、すてきだ。

 

 さて、話を競技に戻そう。今回は男子シングルの話で終ろうと思う。

 真・四回転時代。そのはじまりは、と問われるとやはりわたしはひとりの選手の名前を思いつく。

 カナダのパトリック・チャンだ。

 あれだけのスケーティング能力を持ち、クワドジャンプを飛ぶ彼。パトリック・チャンに勝つためには、というのが時代の起点であるとわたしは思う。

 そして、現世界記録保持者の戦略は、この問いに対する回答は、こうだった。

パトリック・チャンより多くの本数クワドを飛び、基礎点を得る。そして同じくらいにPCSを上げればいい」。

 すべてはこれにも基づく結果。GOEという戦術を武器に、羽生結弦はクワドトウループとクワドサルコウのみで110、220、330という数字をたたき出した。そしてこれは今回の平昌五輪にも深く寄与することになる。

 「完璧ならば」勝つ、という言説には常に、「完璧はありえない」という前提が存在する。しかし彼の「完璧」はすでに実現され、目に見える形で残されている。わたしたちは、羽生結弦がTとSで戦えることを知っていた。かくして彼は最後まで優勝候補であり続けたのである。

 いざ五輪が終わってみると、すべてが糸で結びあわされたように見えてくるが、結局これはわたしがすべてを「物語」に収束させてしまっているだけなのかもしれないなあ。反省しつつやめられないのがオタクのさがだ。

 宇野昌磨浅田真央の出会い。羽生結弦エフゲニー・プルシェンコの出会い。勝者の歴史は物語になりやすい。自己反省を繰り返しつつこれからも元気に見守っていかねばなるまい。

 四年間は一区切り。また、フィギュアスケートという競技は次のタームへと突入することだろう。パトリック・チャンは引退し、ハビエル・フェルナンデスも舞台を去ろうとしている。時代は移り変わるが、選手たちの挑戦はもちろんおわらない。

 傍観者たるわたしはときおり過去を振り返り、さまざまなストーリーをつなぎながら、これからも彼らを応援し続けるのみである。

 いつか彼らの伝説が歴史になる、その時まで。

 

 これからの四年、楽しみだなー!あとみんな、銀英伝読もうね。

 はーい今日はここまで! 長いのに読んでくれてありがとう。

 

 

P.S.

質問とか言いたいこととかあったらブログのコメント欄かTwitterでリプ飛ばしてください。フィギュアの用語解説とかなくてすまん。

 

受け継がれしもの with 羽s の話をしよう①

 ようやくこのときがきた。話す話すといっておきながら、その他様々な用事があって(なぜささきが忙しかったかはみなさんご存じだろうが)今日まできてしまった。

 このブログを勢いで作ってしまった要因の一つ。

 Continues ~with Wings~である。みんなこれがどんなショーかは重々承知の上だろう。ウィズ ウィングスを「~」で囲んでしまう感じ、たいへん趣深い。さすがのネーミングセンスといったところである。もちろん褒めてますよ。

 そう、羽生結弦凱旋ショーだ。

 ささきは本当に、本当に運良く全日のチケットを手に入れることができたので、噂になっているあれやそれもすべて目撃してきたということになる。でも全日見てしまったせいで、また一ヶ月ほど時間が空いたせいで、「あれ?これ何日目にいってたことだっけ」「え?そもそもこんなこといってたかしら」「さすがに妄想なのでは」「もう羽生結弦すらささきの妄想なのかもしれないな」となりつつある。最後に関してはFaOI神戸を座して待つしかなかろう。

 なのでタイトルは①だ。1日目を中心に話すが、ちょっとごちゃってしまっても許してねってことなのだ。

 さて、本題を始めるとする。

 ささきは14日の朝すでに東京にいた。そのあとフォロワーさんとお会いし、すきな漫画をプレゼンして、せっせこと会場に向かった。順調である。グッズはもうすでにすべて売り切れていたが、パンフレットは買えたので問題ない。

 会場には羽生氏の歴代プロ音楽がかかっている。編曲もうまい。そしてパンフレットを読んでいる時点で若干涙が出てきた。はやい。ぼっちスタンドAで泣くのはちょっと恥ずかしい。我慢した。

 会場がひとで満ちあふれる。そして17:55あたりに、会場の雰囲気が変わった。

 「SEIMEI」の音楽が始まったのである。

 音楽に合わせてプロジェクションマッピング的な何かで氷の上が照らされ、音楽に合わせた手拍子が起きる。当然だ、会場全員合わせて100万回は聞いた。1日目なのでだれがどんなふうにどこから出てくるのか、全くわからない。

 「SEIMEI」の音楽が終わっても誰も出てこないので、みんなちょっとキョドった。ドン! のところでなにか起こると思ったからねえ。

 そしてはじまる映像。

 画面にでかでかと映し出される幼い羽生氏。会場から漏れる「かわいい……」の声。めっちゃわかる。

 ソチ五輪では拍手が起き、もちろん連覇達成の場面でも大きな拍手が起きる。「よかったねえ」「がんばったねえ」といった感じである。いや本当に。

 そして映像はそこでは終わらない。彼の栄光の陰にある、数々の苦しみや、挫折。苦悩と信念の源泉──東日本大震災のこと。(ちなみにささきは三日ともこのあたりで泣いている)

 そして、そのようなときに彼を支え続けた、尊敬すべき先人たちとその演技。

 彼らから何を受け継ぎ、そしてまた何を伝えていくのか。すべてのものに感謝を込めて、それをこの場で伝えたい。

 これこそがContinues ~with Wings~のテーマである。(たぶん)

 いや映像もすげえしコンセプトの固まり方がすげえな、と(泣きながら)思ったその瞬間、会場に悲鳴が沸き起こった。「ピギャァァァァァァ」って感じだった。

 羽生結弦(パリ散黒or緑)!! なるほど羽生結弦展の衣装の少なさは! これが理由か!

 しかも氷の上に乗っている! 氷の上に乗れるぐらい回復したんだ! うれしい! でも滑ってくれる(本当に滑るだけ)なんてサプライズ! 来てよかった!

 このあと何が起こるかまったくしらない、哀れなスケオタたち……。

 とまあこんな風にショーは始まった。ささきは「もう元とったな」と思った。

 オープニング、すばらしい。みんな本当にスケートがうまい(当然だ)。そして振り付けに! 羽生氏の過去プロが組み込まれているのである!(ジェフのバラ1や全体でホプレガなど)

 ちなみにこのとき羽生氏はステージ上にいた。あーわかってはいたけどやっぱり滑らないんだー。

 完全にだまされた。

 そしてオープニングの最後にはプル様が羽生氏に向かって超絶ステップで接近していき、羽生氏は彼に跪く。会場にちょっと不思議な空気が流れる。こいつ、オタクだ……。

 ま、そんなことは重々承知の上だ。全力でプル様充するとよい、とささきは思った。そんなこんなでショーははじまったのである。

 すでに文字数がかなりかさんでしまったので、各個人への感想は今度にして、ショー全体についての感想を述べて今回は終わろう。(やっぱり①にしてよかったね)

 面白かった。これにつきる。

 ささきは常日頃から、スケートショーってもう少し幅が広ければいいのにな、と思っていた。スケートを愛する人は楽しいが、一般人には敷居が高すぎる。値段もそうだが、誰が滑るのか、滑っている選手はどんな選手か、それを知らないと楽しむことが少し難しい。(それが悪いと言うつもりはなくて、もう少し幅が広ければとただそれだけのことだ)

 「氷艶」のようなショーがもう少し増えればいいのに。普通の人が、スケートを普段見てない人でも、ふらっと来て見て興奮するショー。

 今回、そのひとつの解答を見せてもらった気がする。

 解説をすればいいのだ。そりゃそうだ。でも意外に気がつかなかったなーと思う。

 Continues~with Wings~は羽生氏の映像によって、各演者の解説がなされる。

 羽生結弦は彼らの何に影響を受けたのか。彼らのどんなところがうつくしいのか。すばらしいのか。羽生は彼らのどんなところが好きなのか。

 それをしって見る演技はやはり、面白い。見所を明確に打ち出してくれている。羽生氏の思い出と尊敬をひしひしと感じた。

 このショーには軸がある。そしてその根本には、「羽生結弦はすばらしい選手である」という確固たる共通意識がある。そうでなければ歴史をひもとく必然性がない。

 うまい。うますぎる。というか、頭がいい。

 ひとが何に感動するのか、彼はひとつの解答を持ってショーを組み立てた、と私は思う。これについてはまた後日話す機会を作ります。勝手に。

 まとめるとズバリ、世界一(物理)のスケオタが考えたスケオタも普通の人も面白いショー

 ってことです。雑ですね。

 まあ細かい萌えポイントとかは次に話します。あとあれね、1日目羽生さんめっちゃ緊張してたね。

 正直に言うと1日目の印象は「顔が死ぬほどかわいい」に尽きる。

 のだがそれもさすがにあれなので、ほかの方々の演技も含めてがんばって言葉にしてみようと思います。また今度にね。

~つづく~